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登録日:2010年5月31日

不況下で脚光を浴びつつあるビジネス

不況下で、少しずつ認知度を高めているビジネスがあります。ひとつは休日などをフル活用する「週末起業」、もうひとつは美と健康に効果的という「ローフード(raw food)」事業です。不況ならではのビジネスと、不況でも気になるというビジネス。どちらも、じわじわと人気が広がっています。

休日をフル活用

週末起業家の支援をしている特定非営利活動(NPO)法人「週末起業フォーラム」(東京)は、起業についての考え方やビジネスプランの作り方を指導するセミナーへの参加者が、2009年に入ってからそれまでの2倍以上に急増したため、セミナーの開催回数を月2回から週1回に増やしているそうです。

会員数は2000人に達し、このうち「週末起業を始めている」という人が31%、その2割が月商50万円を超えているといいます。

週末起業は会社に勤めながら、アフター5や休日の時間を利用して、リスクを最小限に抑えた起業です。週末起業フォーラムの代表を務める藤井孝一氏は著書「週末起業」の中で、週末起業は「サラリーマンの不況対策」になると指摘しています。

休日をフル活用
休日をフル活用

実際、景気の悪化に伴って、企業側も従業員の副業を認める動きを見せています。

2009年4月に報道された共同通信社のアンケートによると、大手メーカー24社のうち、日産自動車、三菱自動車、富士通、東芝の4社が最近の業績悪化を受けて副業を容認していることがわかりました。

このうち、日産自動車は2009年3月から、減産のため賃金カットになる休業日を設けている国内工場などの正社員に対し、副業を認めました。

通常は副業を原則禁止にしていますが、休業日の賃金を最大2割カットしているので、その収入の目減り分を補うのが狙いです。

藤井氏は新聞の取材に対し、「景気も悪いですから、そんなにすぐに仕事が見つかるものではありません。ですから我々は、日ごろから週末に、自分の好きなことや得意分野を生かして起業しようと、『週末起業フォーラム』を作って、週末起業家の支援を行っています」と話しています。 また、週末起業は将来の本格的な起業に向けたトレーニングにもなります。ポイントは小資本で借金をしないこと、インターネットを駆使すること、自分の趣味を活かしたビジネスをすること等が挙げられます。週末起業の一例としては、WEB制作の代行、人材派遣サイトの運営、経営コンサルタント、週末だけ開店する雑貨屋などがあります。 前出の藤井氏は「いきなり会社をやめて、起業して、失敗したら、すべてを失ってしまい、とても危険です。フォーラムでは、今の仕事を続けながら、週末企業で、今の給料と同水準の収入が得られるようになってから、独立するように忠告しています。週末起業は、大企業に埋もれている起業家のタマゴを発掘することにもなり、巡り巡って、日本経済の発展にも貢献できると考えています」と説明しています。

キーワードは「美と健康」

不況にも関わらず、活気付いているのが「美と健康」関連のビジネスです。そのひとつが、アメリカ西海岸を中心にブームとなっている「ローフード」に関するビジネスです。

日本でもローフードマイスター検定を行う「日本リビングビューティー協会」(東京)が2008年に設立され、ローフードを学ぶスクールを全国展開しているほか、資格保有者の独立開業も支援しています。

キーワードは「美と健康」

同協会によると、ローフードは「生の食べ物」という意味で、野菜や果物などに含まれる酵素を体内に取り入れて本来の美と健康を取り戻す食事法です。酵素栄養学と呼ばれる最新の栄養学として、その概念は化学的に裏付けられているといいます。 もともと、ローフードはアメリカ西海岸のカリフォルニア、特にハリウッド周辺でブームになりました。有名デザイナーのダナ・キャランさんが20キロ近くの減量に成功したほか、女優のデミ・ムーアさんをはじめ多くの「セレブ」たちが取り入れているそうです。

キーワードは「美と健康」

ビル・クリントン元大統領も訪れるというローフードレストラン「ピュアフード・アンド・ワイン」(ニューヨーク)では、オイスター・マッシュルームを帆立貝に見立ててヒジキ製のキャビア、エゾネギ、トマトのブイヨンなどをあしらったメニューなどが人気だといいます。

料理1品に合わせてワイン1種が出される「テイスティングメニュー」が、1人69ドル(2009年4月現在)で用意されています。

このレストランのオーナーであるサルマ・メルンガイリスさんは、雑誌の取材に対して「世界に出荷しているけど、日本からもオンラインでローフード食品の発注がある」と話し、レストランと合わせて2008年度の売上は440万ドルになったとしています。

メルンガイリスさんは東京やロンドンへの出店のほか、派生ビジネスとしてローフードのペットフードや健康雑誌の出版などへの進出も考えているそうです。 日本でも、日本リビングビューティー協会がローフードスクールを全国で28校展開しています(2010年3月時点)。遠方在住者のために3日間で集中して1・2級コースを受講できるカリキュラム(12万6,000円)もあり、1級合格後は認定校の設立ができる仕組みになっています。
自宅でキッチンさえあれば認定校を開設することができ、ホームページの作成や広告に関することなど開設までのバックアップシステムも整えているそうです。

2009年7月には、ローフードスクールの第1期生が都内にローフードレストランをオープンし、好評を得ている模様です。

また、日本初のベジタリアン雑誌「ベジィ・ステディ・ゴー!」の増刊として「ローフードレシピ」が、2010年3月29日に発売されました。健康志向の女性の期待に応え、オールカラーでローフード50レシピ以上を紹介しているといいます。

キーワードは「美と健康」

不況で勝ち残る人

バブル経済崩壊後の1990年代中期から2000年代前半にわたる不況の時代は、「失われた10年」と呼ばれています。

銀行・証券会社といった大手金融機関の破綻が金融不安を引き起こすなど、日本経済が大打撃を受けた時代です。 金融機関を筆頭とした企業の統廃合、多数の企業倒産、従業員の解雇(リストラ)などが相次ぎました。

そんな不況下で、1993年から全国高額納税者番付(総合)の10位以内に唯一10年以上連続で入った人がいました。

健康食品販売業「銀座まるかん」の創業者である斎藤一人氏です。

土地売却や株式公開などによる高額納税者が多い中、納税額はすべて事業所得によるものという異色の存在で、土地・株式を除けば実質毎年1位といわれています。

不況を乗り越えて業績を上げてきた斎藤氏は、著書でこう訴えかけています。

「みんなただガンバルだけではだめですよ。楽しくガンバッた人だけが、不況に勝ち残る人ですよ。笑って笑って」

「笑う門には福来る」。不況の中でも前向きな姿勢が、起業家として勝ち残る真髄といえそうです。

全国高額納税者番付(総合)での斎藤一人氏の順位 ※ 出典:銀座まるかんHP
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